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2009年5月 4日 (月)

日本酒の魅力

 私は日本酒が大好きだ。と言っても初めから好きだった訳ではない。専ら若い時分はビール専門だった。20代の頃はバブルの絶頂期で、大学生の時はビールの一気飲みが流行った頃で、質より量の時代だった。また職場では若者会なるものがあって、毎月飲み会があり、夜中の2時までカウンターを占領し、店一件貸し切り状態で飲み明かしたものだ。もちろん次の日(正しくはその日)仕事もあった。若くて元気だったとつくづく思う。そんな大酒を食らっていた頃には、日本酒というと「おじん臭い」とか「酔っぱらいの嫌な匂い」というイメージが自分の中に既成事実として出来上がっていて、居酒屋などで自ら選んで注文することはなかった。今振り返るとビール(ドライやバド)とおしゃれなカクテル(代表格はソルティドッグ・女性ならカルアミルク)が20代、水割りと健康ブームに乗って焼酎がもてはやされた30代、そして酒の味がわかるようになってきた40代になって、本当に味のある美味しい酒を求めてたどり着いたのが日本酒という訳だ。

 ひと口に日本酒といっても奥が深い。昔は2級酒や1級酒、特級酒などという分類だったが、今や酒質や作り方、特に精米歩合によって大吟醸・純米吟醸・吟醸・純米・本醸造などという分け方に変わった。酒造りに使用する米(酒好適米)によっても、それぞれ味わいが違うし、しかも酒造りには長い月日と手間がかかる。地方やその土地によって独自の製法や技法があり、季節ごとに仕込み法が異なったりする。「越の寒梅」に代表される地酒ブームが数年前にあったが、全国津々浦々の地酒を味わえる喜びはよくぞ日本人に生まれけりである。ところで、私の亡き祖父の生まれは、豊かな風土と大自然に囲まれた福島県の会津であることから、私にとって会津は切っても切れない縁を感じている。清冽な水と全国第4位の米どころが相乗効果を生み、酒造りには最適の土地柄であることに加え、会津人には「ならぬものはならぬ」の厳しい精神が宿り、頑固なほど物事に妥協しない気質が持ち味である。だから美味しい酒ができない訳がない。それを証明するかのように、ご当地福島県は、毎年開催される全国新酒鑑評会では、最高賞である金賞の受賞数が、堂々の全国1位である。そんな酒どころに生を受けた自分が、運命に導かれるように日本酒の魅力に取りつかれていったのも当然だろう。

 日本酒の味は、次の4つのポイントで決まると思っている。1つ目は日本酒度と酸度の値。淡麗辛口、濃醇甘口などという言葉を聞いたことがあるだろうか?淡麗辛口はこの日本酒度が基準値(±0)より高く、酸度が平均値1.4より低いお酒のこと。人間の舌には辛いがすっきりしていて飲みやすいと感じる。日本人は本質的に強いお酒に耐える体力や肝臓を有していないので、淡麗の酒を求める傾向にあるようだ。地酒ブームに乗っかって有名ブランドにのし上がった酒のほとんどはこのグループだ。この両者のバランスによって日本酒の旨味が違ってくると考えて良い。

 2つ目は使用する好適米の質と水。酒造りに使用される米のことだが、山田錦、五百万石、美山錦が代表的。米を原料とする日本酒が米の出来によって味が異なるのは当たり前の話。その年が天候不順などで不作になれば、酒の味に影響が出るのは必至。もちろん削り方も大事で、「精米歩合40%」というと最高品質の大吟醸酒を指すが、これは米を60%分磨いて削り、元の米(玄米)から40%分だけ残りました、という意味。だから精米歩合が低い数値ほど等級が高くなるわけです。そしてそれを混ざりものが一切ない雪解けの清流水を酒造りにふんだんに用いることで、味にふくよかさが加わるのです。米どころ・酒どころと呼ばれる場所が、雪深い土地柄に多い理由がこれで頷けよう。

 3つ目は酒を造る杜氏の腕。蔵元には酒造りの最高責任者である杜氏を筆頭に仕込み桶(タンク)の数に応じて蔵人の人数が決まってくる。仕込数が多いとさまざまな酒類を醸すことはできるが、それだけ品質管理が難しくなる。大々的にCMなどで宣伝し、オートメーション化していて、衛生的で万人受けするような酒を造る蔵が本当に美味しい酒を醸し出すかといえば一概にそうとは言えない。少人数でも確かな味覚を持った杜氏が、指示を明確に出し、絶妙のタイミングと温度管理を徹底している蔵は、酒の味も確かだ。もっとも仕込み数が少ない蔵のほうが、事実、味や品質にこだわりを持っていて、市場に出回る数が希少な分、幻の酒ともてはやされることのほうが多い。要は宣伝力に踊らされるのではなく、口コミのほうが確かな情報なのである。日本酒の味を知らない人などは、有名銘柄やCMで名の知れた酒をついつい選んでしまいがちだが、日本酒の味がその銘柄によって千差万別であるように、個人の舌も様々である。よっていくつかの酒を飲み比べてみて、自分の好みにあった日本酒を選んでもらいたい。きっとそれがあなた好みの酒になるはずだからだ。

 4つ目はお酒の管理。これは酒販店の日本酒の陳列の仕方と家庭での保管方法の話。せっかく蔵元が丹精込めて良心的な酒造りをしても、それが流通ルートに乗る際に、販売元である小売りの酒販店の扱い方が悪ければ元も子もない。酒は生き物で、それを生かすも殺すも保存状態次第なのだ。私が行きつけの酒屋さんは、昔気質の売り方をしている老舗で、古くから多くの蔵元と厚い信頼関係を築いていて、それが他店にはない銘柄の酒を数多く置いてある所以なのだと思う。その酒屋さんは、食品販売には打ってつけの北道路に店を構え、店内に入ると冬場でも寒いくらいの室温で、照明を薄暗く抑え、温度管理も徹底している。まるでわが子を扱うように、造り手の情熱を受け継いだきわめて良心的な売り方をしている。そんな店の日本酒が旨くないはずがない。私自身も何度か酒を買いに行くうちに、そんな店の「男気」に惚れて、私の「趣味ING」のホームページ内でもリンクし、紹介させてもらっている。

  また私自身が励行していることは、自宅では、せっかく入手した酒を粗末に扱うようなことはせず、冷酒は必ず冷蔵庫に保存し、冬場は床下に置いている。間違っても日当たりのよい場所に放置したりはしない。日本酒は生き物というのは前述したが、保存状態が悪いと味に影響が出るのは必定である。このブログを読んでいる方は、相当の日本酒ファンだとお見受けした。おそらく安さが売りの酒のディスカウントやスーパー・コンビニなどで酒を購入している人はいないと思うが、私は知識が豊富な日本酒専門店で買うようにしている。そもそも日本酒は、ビールとは違い安売りするような代物ではないし、ただ安いだけの酒は魅力がない。日本酒は大量に飲むものではなく、あくまで嗜好品なのだ。だから安さを求めてディスカウント店に行っても、まずくてどこでも手に入る酒しか置いていない。おまけに店員は酒の知識は乏しく、酒を直接照明に当て、無造作に並べてある。最悪なのは冷酒でさえ、冷蔵庫ではなく、一般の陳列棚に置かれていたりする。これじゃ酒も泣いている。こんな売るだけの店で、酒の事を質問してもまともな答えが返ってくる筈はないし、何回酒を買っても客の顔さえ覚えてないだろう。私の行きつけの酒屋さんは、利き酒師の資格を持っていて、酒の知識が豊富なので、色々話すうちに自分の舌に合いそうな酒を選んでくれる。私が日本酒に多少詳しくなったのも、実はこの酒屋さんの受け売りなのだ。自分の口に入れる飲み物は、自分好みの美味しい酒であるべきだとは思いませんか?

 以上、日本酒の味と美味しく味わう上での留意事項を書き綴った。まだまだよもやま話は尽きないが、それはまた別の機会ということで楽しみにしておいてほしい。最後に私が飲んだ酒で、おいしいと思った酒(さっき書いた酒屋さんですべて手に入ります!)ベスト5を紹介して結びとしたい。

第1位 縄文能代(秋田県) 吟醸酒 3,150円(郡山市内ではそこでしか手に入らない)

第2位 國権(福島県・田島)特別純米夢の香 2,415円(地元の特産米を使用) 

第3位 出羽桜・雪漫々(山形県)大吟醸 5,744円(ご存じ全国で人気ベスト5に入る酒)

第4位 くどき上手(山形県)酒未来 2,835円(郡山市内ではそこでしか手に入らない)

第5位 天明(福島県・坂下)無濾過純米吟醸火入れ 3,150円(地元でブームになっている酒)

 ちなみこの酒屋さんは、久保田・越州の正規取扱店になっていて、法外な値段で売る店が多い中(大手スーパーでは倍以上の値段なのに)、千寿が定価の2,446円、萬寿でも8,169円で売っています。数は少ないが、飛露喜も扱っています。その他、田酒、豊盃、出羽桜、浦霞、刈穂などの東北地方の希少酒や大部分の福島県の地酒(全国的に人気が高い末廣・奈良萬・蔵粋・花泉・穏・雪小町・大七)も扱っています。

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