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2010年6月13日 (日)

「俺たちの旅」の心を打つメッセージ

Oretabi  「俺たちの旅」を知っているだろうか?昭和50年の10月から1年間に渡って、NTV系列で全46回放送された鎌田敏夫原作の青春ドラマだった。主演の津村浩介(カースケ)役に中村雅俊、熊沢伸六(グズ六)役に秋野太作、中谷隆夫役(オメダ)役に田中健が扮していた。そして私が当時首ったけだったオメダの妹・中谷真弓役に岡田奈々が出演していた。他にも森川正太(ワカメ)、名古屋章(いろは食堂主人)、石橋正次(タマ)、穂積隆信(ドジ)、上村香子(紀子)らも脇をしっかり固めていた。舞台は吉祥寺の「たちばな荘」(アパート自体は杉並区方南)とその付近の町並みがロケ地として何度も使われた。当時としては学園ドラマ以外で、若者がひとつ屋根の下で共同生活を送る模様を描いた作品はなかった。あらすじをかいつまんで書くと、まず主役のカースケは大学4年生で、バスケ部のキャプテンでエースであったが、就職活動はほとんどせず、アルバイト中心でその日が楽しければよいというタイプであり、彼に好意を抱く部のマネージャー洋子(金沢碧)の心配をよそに気楽な毎日を過ごしていた。一方、親友のオメダは父親不在の生い立ちと彼自身の生真面目な性格からか、堅実なサラリーマンに対して執着を見せるなど、カースケと対照的な存在だった。また、同郷の先輩グズ六は勤めが長続きせず、恋人の紀子や母親の気をもませていた。一旦は3人とも勤め人になるも、結局、正直すぎた彼らは不条理な社会の慣習や人間関係に縛られることを嫌い、同じ下宿の東大浪人生ワカメと4人で「なんとかする会社」を立ち上げ、自由奔放、独立独歩の生活をする決心をしたのであった。

 この番組のコンセプトは、友情や若者の夢と挫折、恋愛感情、家族の絆などいわゆる人間関係に焦点を当てた青春群像だった。ジーパンに長髪にゲタ履きというカースケの風貌は、格好良さよりも人間が本来持っている泥臭さや人情味を如実に醸し出し、自由で束縛を嫌い、一見ハチャメチャで破天荒だが、人間として一番大事な何かを兼ね備えていた。番組のストーリー構成も本能と理性のギャップ、理想と現実の狭間でもがく苦悩、社会への反発や大人になりきれない若者の心の葛藤などをストレートに描き、言うなれば当時の若者たちのとって青春のバイブルのような作品だった。当時の若い世代の人たちにどれだけ影響力があったか計り知れない。この番組は70年代にあって、共感を持って迎えられた。放送時、私はまだ小学生だったが、強烈な印象を受けた。「これが青春っていう奴なのか」と感慨深いものがあったと記憶している。特に想い出深いのは、小椋圭作詞作曲で、中村雅俊が歌うオープニングテーマ「♪夢の坂道は~木の葉模様の石畳~」という主題歌とエンディングの「ただお前がいい」だ。私は実際にそのレコードを持っていた。そして出演者の何気ない会話の中に、人生にとって大切なことを出演者自身の台詞として語らせた場面が随所に散りばめられてあった。まずそれらを幾つか紹介しよう。

 第7話「人はみなひとりでは生きてゆけないのです」よりワカメの言葉
 「嬉しかったのかもしれません、本当は。 嬉しいんです。 あなたたちが僕のためにあんなに馬鹿みたいに必死になってくれたことが。」

 第9話「男はいつか愛を知るのです」よりオメダの言葉
 「愛なんてさ、もっと綺麗で夜明けの海みたいに キラキラしたものだと思ってたんだよ。けど、違うんだよな。 奪わなかったんじゃない。奪えなかったんだよ。 幸せを与えるだけが愛じゃなかったんだよ。 不幸しか与えてくれないとわかっていても離れられない、 そういう愛だってあったんだ。」

 第20話「本気になって生きていますか?」より浩介の言葉
 「俺は俺だよ。俺なりの生き方しかできないんだ。 今日一日を精一杯生きる。そんな生き方しかできないんだ、俺は。 俺には将来の夢も、人生の目標も何にも無いよ。 ただ、明日死んでも後悔しないように、その日その日を精一杯生きる、 そんな生き方しかできないんだよ、俺は。 」

 第34話「気楽に生きてりゃなんとかなります」より浩介の言葉
 「生きるのが楽しくない奴の方が俺より馬鹿だよ。 たとえ生活が安定していようと、金が有ろうと、地位が高かろうと、生きるのが楽しくない奴は俺よりずっと馬鹿だよ。 なあオメダ、生きてる間って短いんだぞ。 70年生きたってさ、25,000日くらいしか生きられないんだよ。 今日だって、その25,000分の1なんだよ。 どうしてその一日を大切にしようとしないんだよ。 え、毎日毎日嫌々生きんなよ。 なあ、人間はもっと自由なんだよ。」

 第35話「一緒に仕事をはじめました」より谷の言葉
 「あたしゃね、この歳になって生まれ変わったんだよ。 今までは無事平穏で生きることだけを願って着実にやってきたよ。 だがね熊沢君、人生なんてやつはどんな風に生きようと、一生は一緒だよ。 この辺で私はいっぺんだけ自分のすべてをかけて ガーッとぶちかましてやろうと思ってね。見ていたまえ、私はね、やって、やって、やり抜いて見せるから。とことんやって駄目だったら、その時はその時だ。 もう失敗を恐れてビクついていた私とはおさらばだよ。」

 第41話「生きてる限りせつないのです」より浩介の言葉
 「そういえば昔、グレて悪いことばっかしやってたよ。 何であんなに気が立ってたんだか、今思うとわかんないよ。 お袋は俺を大学へやろうとして一生懸命働いてたよ。 俺はそれを知っててグレてた。 お袋が死んでから、せめてお袋の思い通りにしてやろうと思って、似合わないのに大学に行っちゃったけど、 死んじまってから何したってしょうがないよね。生きてるうちにしなくちゃさ。」

 第46話「男の旅はまだまだ続きます」より浩介の言葉
 「何もないときにね、優しくするって誰にだってできんだよ。 何かあったとき、優しくしたくない時に、優しくするっていうのが女じゃないか。 怒りたくても、ふと優しくするのが女じゃないか、だから男が惚れるんじゃないか。 だから忘れられなくなるんじゃないか。」

 まさに人生の代弁者達であったと言って差し支えないだろう。最近は、残念ながらこうした人間の「生き方や在り方」を教えてくれる青春ドラマが少なくなった。「月9ドラマ」などはお洒落でトレンディーを絵に描いたような恋愛ドラマばかりである。そういうものを求める国民意識も悪いのだが、世代間の相違とはいえ、番組製作者には人生の根本について見つめ直すような番組作りを期待したい。人は誰しも悩みを持たずして生きて行くことはできない。なぜなら人は社会の中で人との関わりあいの中で生きて行くからだ。もしかすると自分の思い通りに行くことはほんの僅かで、心が折れたり、傷つくことの方が多いのではないかと思う。幸いにして私の思春期や青春時代は、缶蹴りやソフトボールなどを通して、幼い頃からそうした友人関係や人間関係の処世術を実体験から学ぶことが出来た。命の大切さ、人を思いやる気持ち、悩みの解決方法を知らないまま大人になると、平気で人を傷つける人間になる可能性が高くなる。部屋に閉じこもり、テレビゲームにばかり興じていると、閉ざされたバーチャルな空間で物事を考えるようになる。相手を倒して点数を稼いでいくゲームの世界と現実との区別がつかなくなる恐れがあるように思えてしまう。もちろんゲームがすべて悪い訳ではないが、どこか不健康なイメージを抱いてしまう。少なくとも私自身は、バイクを駆って大自然と対話できる経験を得られたり、生身の人間とふれあい、共に刺激し合って成長できた境遇を幸せだったと思っている。

 そして毎回感動するのは、番組のエンディングで「ただお前がいい」のBGMに乗せ、縦書きのテロップで流れる詩だった。短い中にも、その都度番組内で訴えたかった主張が盛り込まれていた。今でいう「相田みつを」が奏でる魂のメッセージだった。今回はそれを紹介して結びとしたい。「人間として忘れてはいけないもの」を教えてくれた琴線に触れるメッセージの数々だった。
 

第1話「男はみんな寂しいのです」

男はみんな 心のどこかに 寂しさを抱いているのです

第4話「男の友情は哀しいのです」

友情なんて 大げさなものじゃない オレはただ おまえが好きなだけだ

第5話「女もなぜか淋しいのです」

生きることの 本当の意味は 学校では 教えてくれない

第7話「人はみなひとりでは生きてゆけないのです」

明日のために 今日を生きるのではない 今日を生きてこそ 明日があるのだ

第11話「男はみんなロマンティストなのです」

いつか破れるかもしれないが それでもなお夢を追う 男はみんな ロマンチストなのです

第16話「男には女の淋しさが胸にしみるのです」

いろんな悲しみがある ただそれをわかりあえた時 悲しい者同志の心がかたく結ばれる

第19話「.新婚旅行がまた大変です」

男は女のやさしさを求め 女は男のやさしさを求める 皆がやさしさに飢えている

第27話「うちの嫁さんチョコちゃんなのです」

たった一人の男と たった一人の女を 何が結び付けるのだろうか?

第28話「木もれ陽の中に思い出が消えたのです」

誰だって 秘密にしておきたい 思ひ出が 一つくらいは あるものだ

第29話「生きるのがへたな男もいるのです」

純粋であればあるほど 人はキズついていく 何故なのだろうか?

第32話「愛するってどういうことですか?」

たとえ淋しくても たとえ苦しくても いろんなことがあった方がいいじゃないか 人生には

34話「気楽に生きればなんとかなります」

金も名誉も 地位もいらなきゃ 生きることは こんなにも 楽しいのに

第36話「男には美しさがあるのです」

人は なりふりかまわず 働くとき なぜか美しい

第37話「お兄ちゃんはお母さんの恋人です」

淋しさを知っている 人間だけが 笑って生きていくことの 楽しさも知っている

第38話「哀しい愛もあるのです」

哀しい恋があり 結ばれない恋もある しかし人間は 誰かを 愛さずにはいられない

第40話「やさしさだってあるのです」

心に やさしさのある男は 人をキズつけられない たとえ つらくても -

第42話「男は生きがいをもとめるものです」

どんなにつらくとも 俺たちだけは 自分の道を どこまでも歩んでいきたい

第43話「愛しているから別れるのです」

ひとつの出逢いが ひとつの別れを生む そして 人はまた 人と出逢う

第44話「友情ってなんでしょう?」

嘘をついて かばってやることが 本当の友情だろうか?

第45話「愛しているから哀しいのです」

人はなぜ ただひとりのひとを 愛するのだろうか ただひとりのひとが 忘れられないのだろうか

 これらのメッセージは「生きる」ことの意味を考えさせてくれた。これは続編の「俺たちの朝」にも受け継がれることとなった。

Oretati_messegeただお前がいい
わずらわしさに 投げた小石の
放物線の軌跡の上で
通り過ぎて来た 青春のかけらが
飛び跳ねて見えた
その照り返しを その頬に
映していたお前
また会う約束などすることもなく
それじゃまたなと 別れる時の
お前がいい

オープニングテーマ
http://www.youtube.com/watch?v=LpUEpUV87e8

エンディングテーマ
http://www.youtube.com/watch?v=vR8hoLIGgHs&feature=related
   

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