郡山の事件簿
昔話をほじくり返すようで心もとないが、かつて私が幼少の頃は、郡山市というと「東北のシカゴ」と呼ばれるくらい犯罪多発地帯で、しかもヤーさんが多く、それは物騒な土地柄だった。それが今では「水と緑の都市」とか「東北のウィーン」と呼ばれるほどの音楽都市(楽都)へ劇的なメージチェンジを図り、成功を遂げた。しかし、犯罪が全く起きていない訳ではない。郡山は二署体制(郡山警察署と北警察署)となり、治安も随分と良くなったが、時々全国ニュースに顔を出すような事件や事故が起きてしまう。今年は豊田浄水場の鴨から強毒性の鳥インフルエンザが検出されて大きな話題を提供したばかり。そこで今回のテーマは、私が生まれた昭和39年以降、「郡山で起きた記憶にある事件や事故」を合計で10個ほどピックアップしてみたい。もちろん関係者の感情を逆なでするものでないことを予めお断りしておきたい。
1.郡山レジャーセンターで熊に襲われた事件
昭和49年11月4日、午後1時頃、郡山市安積町の「郡山レジャーセンター」内にある動物園で、当時市内の小学校に通う4年生の女の子が、檻の中の雄のヒグマに餌をやろうとしたところ、右手を檻の中に引っ張られて、肩の下から腕を食いちぎられるという痛ましい事件が発生した。ヒグマは体重が540kgもあった。私自身は小学生の頃だったが、親に連れられて何度かここを訪れたことがあった。南国をイメージした屋内植物園のような所や地味な遊具、不気味な人形などが展示してあったと記憶している。今は国道4号線沿いの迎賓館グランプラスがある場所であった。
2.磐光パラダイス火災
1969年2月5日21:00過ぎ、福島県郡山市磐梯熱海町にあった「磐光パラダイス」にて、強風注意報が発令されている中で出火。磐光パラダイス(RC造3F 7,197m2)、磐光ホテル(RC造4F 7,085m2)、レストハウス(RC造2F 1,228m2)を焼失し、死者30名、負傷者41名という大惨事となった。出火の原因は、金粉ショーの演出道具として控え室に用意されていたベンジンを浸したタイ松が、傍にあったストーブの熱で引火したというもの。出火直後は客に知らせずにダンサーたちだけで消火を試みたが失敗した。観客は、火炎をみて初めて火災に気づき、避難した。折からの強風と、屋根の一部が壊れてそこから風が入り込んだということ、建物が冬場の暖房で乾燥状態にあったことから、火は想像を絶するスピードで瞬く間に燃え広がった。このホテルは、郡山市の中心部から西方16キロにある最大の総合レジャー施設で、団体観光ツアーの人気ホテルだった。しかし、増築に次ぐ増築で内部が迷路のようになっており、また、火災報知機は度々の誤報で、ベル停止状態であった。また、非常口の殆どが針金等で開かなくなるようにしていた。これらの防災上の不備と、異常な速さの延焼速度により、出火時間はまだ夜の9時であったにもかかわらず、このように多数の犠牲者を出すこととなった。なお、この火災の刑事責任については、1978年1月24日に仙台高裁にて、「防火管理者としての一般的職責を怠った」として、磐光ホテル総務課長に禁固2年、執行猶予2年の司法判決が下った。(サンコー防災株式会社さんのブログ記事を参考にさせて頂きました)。私はまだ4歳だったが、家の前をけたたましくサイレンを鳴らしながら赤い大型車が何度も通り過ぎて行った場面をうっすらと覚えている。
3.麓山塗装会社社長誘拐殺人事件
後に発覚した「警察庁広域重要指定118号事件」のひとつである。1989年7月20日、郡山市の麓山の塗装会社社長(当時48歳)を取引を装って4号線沿い大町の「すかいらーく」の駐車場に呼び出し、1700万円を強奪し、殺害して耶麻郡猪苗代町の山林に埋めた。当時、実家からほど近かった(約300m)ことから、実家にも刑事が何回か犯人を目撃しなかったか聞き込み捜査にやって来た。この事件では、犯人の7人が共謀し、岩手県や千葉県でも同様の事件を起こし、逮捕された後、3人は死刑が確定している。
4.富田町のアパート歯科衛生士殺害事件
2005年4月3日、郡山市町東2丁目55、アパート103号室の自室で、歯科衛生士の女性(33)が絞殺体で見つかる事件が発生した。県警郡山北署捜査本部は9日、郡山市香久池在住の配管工(38)を殺人容疑で逮捕した。調べでは、犯人は2日深夜から3日朝にかけて、女性のアパートに暴行目的で侵入し、首をビニール紐で絞めて殺害した疑い。犯人は、アパートの水漏れ工事で今年に入ってから数回、女性方を訪れていて面識があった。容疑者は7日朝、同居の女性を勤め先に送った後、遺書めいたメモを残して姿を消したが、同日夜、福島県金山町の湖の駐車場に止めた車の中に1人でいたところを警察官が発見、同本部で事情聴取していた。この事件も気の毒な事件だった。私の自宅から直線距離で700mくらいのバイパスにほど近い川沿いのアパートで起きた凄惨な事件だった。
5.郡山アーケード内&西ノ内の雑居ビルへの発砲事件
前者はあまり記憶にないが、多分私が小学生の時分だった。テレビのニュースでこの事件を知った。当時は暴力団同士の勢力争い(抗争)が全国各地で起き、こうした発砲事件が相次いでいた。
2005年11月にうねめ通り沿いの郡山5中の向かいにある雑居ビルの1F部分のガラス戸の入り口に実弾3発が撃ち込まれた。翌年2月17日に、郡山警察署が元暴力団組員の2人を銃刀法違反と建造物損壊罪で逮捕した。中学校の通学路で起きた物騒な事件だった。そして発砲事件と言えば、郡山市田村町にある私立高校の教諭を狙った狙撃事件も記憶にある。あまり多くを語らないが、現実的に拳銃を用いた事件が起きている。
6.大平町の住宅団地立てこもり事件(平成4年)
今から17年くらい前に、大平町の閑静な住宅街で、民家に男が散弾銃を持って侵入し、立てこもる事件が発生した。刺青をした覚せい剤中毒の元暴力団員の犯行で、警官隊と銃撃戦を展開した。この模様は夕方の県内ニュースで生中継された。詳細は不明。
http://www.youtube.com/watch?v=WUnPcAaw2lg
また、1998年2月6日には、自転車で帰宅途中の私立高校教師が、自宅近くの水門町の路上で車に乗った男から銃撃され、瀕死の重傷を負う事件があった。
7.17歳の少女殺人事件
2000年1月18日夕方、郡山市大槻町に住むアルバイトの17歳の少女が家族に「知人に会う、ちょっと出かけてくる」などと言い残して、知人男性が運転する車で出かけた。その後帰宅しないため家族が25日に捜索願を出した。また友人には数日前には「10万円ほど必要だ」と話していた。行方不明になった翌日の1月19日、女性がアルバイトしているスナック近くの郡山市片柳町の路上に携帯電話が落ちているのを通行人が見つけた。道路に投げつけられたように一部が破損していた。携帯電話は1月に発見されたあと、家族のもとに戻された。しかし2月に入って家族が福島県の三春町内で紛失。遺体発見後(後述)に警察が紛失したと思われる付近を捜索して再び発見されている。2000年4月3日午後4時ごろ、郡山市逢瀬町の大久保川で、首と両手足をロープで縛られて死んでいる被害者の遺体が渓流釣りにきた男性によって発見された。川幅は約5メートルで水深は約40センチ。水量は少なく、遺体が上流から流れてきた可能性は低いと見られ、発見場所で遺棄されたものとみられた。発見現場では争ったような形跡は見られなかった。遺体は額に鈍器で殴られたような跡があり、体の数か所を殴られるなど暴行を受けた形跡があった。解剖の結果、死因は首を絞められたことによる窒息死であることが判明した。死後約2か月と推定された。当初は犯人逮捕は時間の問題と見られていたが、本人の交遊関係が予想以上に広かったことから難航。事件発生から11年以上が経過した今でも未解決のままである。(下田雄一郎・未解決事件FILEの記事を参考)
8.高校生による女子高生殺人・死体遺棄事件
平成8年8月27日、市内在住の県立高校2年生(17)の男子生徒が、 交際中の同市の私立高校2年の女子(16)と別れ話からケンカとなり、金槌で頭部を殴打し、さらに両手で首を締めて殺害した。 そして母親(35)と共謀の上、遺体を市内西田町の山林に遺棄し、母親も幇助罪で逮捕された。当時はこの衝撃的な殺人事件を取材するワイドショーのTVクル―で連日賑わった。
http://kangaeru.s59.xrea.com/8.htm#1996.8.27
9.クリスマス大雪で大停電
昭和55年12月24日のクリスマスイブ大寒波&豪雪の影響で、市内のあちらこちらで送電線の鉄塔が雪の重みと強風で折れて倒壊。市内中が大停電に見舞われた。我が実家でもろうそくで灯をともし、思いがけないキャンドルクリスマスナイトとなり、それは復旧まで丸々2日間かかった。信号機も稼働せず、町じゅうから灯りが消えた年の瀬となった。
10.8.5水害
1986年8月4日~5日にかけて、台風10号から変化した温帯低気圧が福島県沖を通過したことで、中通り、浜通りで200~300mmの総降雨量を観測する豪雨となった。このため阿武隈川をはじめこの支流が氾濫し、郡山市、福島市をはじめとして阿武隈川沿いの市町村に被害を与えた。これにより11名の死傷者を出し、14,000棟が被害を受けた。郡山市では市内東部の阿武隈川の堤防が決壊し、田村町一体の中央工業団地が浸水。精密電子工業の工場が浸水、その他の工場でも被害が現れ、この工業団地だけで300億円の被害が出た。
さて、中にはあまり思い出したくない事件や出来事があったかもしれないが、我々はこうしたことを教訓として同じ過ちを再び繰り返さないように予防線を張る必要が常にあるように思う。我が街・郡山は、今では命の危険などさらさら感じないほど住みやすい場所だが、この30年の間に殺人事件が20件近く起きている。100%安全ではないし、いつどこで犯罪に巻き込まれるかわからない状況下にあることは揺るぎのない事実であろう。また、上記の中には自然災害も含まれている。近年のゲリラ豪雨や異常気象によって、天変地異があるかもしれない。一番可能性が高いのが地震であろう。福島県いわき市沖は、太平洋プレートとユーラシアプレートが丁度交錯する特異な地形に当たる、したがってニュージーランド大地震のような大規模災害が発生しないという保証はどこにもない。常に備えだけは万全にし、気持ちの中に「いつでも起こり得る」ということを心得ておくほうが得策かもしれない。そしてそれらの犠牲の上に日々の平穏な生活が成り立っていることを忘れてはならないような気がする。
記事作成:3/3(木)
この記事を書き終えたところで、ヤフーニュースを見たら、相双地区の実業高校の3年生が2月中旬以降、「友人に会いに行く」と自宅を出たまま行方不明になっているという記事が・・・。県内の県立高校は3月1日に卒業式を終えているので、何らかの事件か事故に巻き込まれた公算が高く、安否が気遣われている。何か7番目に挙げた記事と経過が似ており、心配なところである。
追記
H24年9月9日に、この記事に追加記載した「郡山のミステリースポット」ですが、アクセスが多かった点を考慮し、12月26日(水)に新たに記事を設け、掲載しましたのでそちらをご覧下さい。(下のアドレスをクリックすればご覧になれます)
http://tsuri-ten.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-18f9.html
「関連サイト」
「福島県の犯罪歴一覧」
http://www.ansin-jp.com/example/example.php?way=0&ex_build=0&mydate=0&city=7&pg=1
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