私が好きだったCM⑬
公共広告機構(1983年) 「資源とともに消えた島」
このCMは私が高校生の頃に何度も流れていたCMで、こんな人工的な島が日本に存在していることに驚きを隠せなかった。それはその名の通り「軍艦」をイメージする佇まいで、周囲1.2km程度しかなく、しかし、それでもそんなちっぽけな島に5千人もの人々がひしめき合って生活していたのだ。そう、そこはかつて「黒いダイヤ」と呼ばれた石炭発掘のために、九州や遙々本州からやって来た炭鉱夫たちで賑わっていた、日本版ゴールドラッシュを地で行くような、まさに宝の島だった。しかし、1960年代に突如沸き起こったエネルギー革命によって、石炭から石油への大転換が国策として進められ、その結果、日本全国の炭鉱は次々閉鎖、廃鉱に追い込まれていった。かつては日本一の埋蔵量を誇った北海道の北炭夕張や南鉱でもガス突出や爆発事故、坑内火災などの事故が相次いで起き、多数の炭鉱夫が犠牲になるなど、石炭産業は一気に斜陽を迎えた。そしてこの軍艦島も、かつての栄華とは裏腹に、家族同然の共同生活をしていた炭住の人々も、先を争うように島を出て行き、終末は、ひとっこ一人いない廃墟だらけのゴーストアイランドと化したのだった。そうした過去の遺物にスポットをあて、限りあるエネルギー資源を国民一人一人が真摯に向き合い、その利用を考えるよう警鐘を鳴らすCMだった。では、早速ご覧頂きたい。
この島は長崎県の沖合に浮かぶ端島が正式名称の小島だ。上空から見ると、本当に軍艦の形をしている。隙間無く、団地があり、学校や病院、映画館など生活に必要なものは何でも揃っていた。最近、ここを世界遺産にしようという動きが活発に展開されている。ただ、何年も上陸禁止措置がとられたにもかかわらず、ここ数年間は観光目的で渡航できるようになり、新たに船着き場や桟橋を整備したので、何か場にそぐわない風情になった感がある。この島のいわれや歴史的な知識を持たぬ者が、興味半分で訪れるとどうなるか。上陸記念に落書きをしたり、ゴミを平気で散らかすj非常識な輩、石や生活用品を無断で持ち帰る不届き者が現れるに相違ない。これが日本人の悪い点である。
私は北海道に住んでいた際に、赤平市や三笠市、夕張市などの炭鉱街を歩き、錆び付いて誰も住まなくなった炭住や廃線となった線路、そして古ぼけたトンネル跡、そしてズリ山の跡などを嫌と言うほど見せつけられた。溜息しか出なかった。かつてはここに人々の幸せな暮らしがあったのだろうと想像すると居たたまれない気持ちになった。今や町自体がゴーストタウン化してしまい、人口は激減し、活気が失せた。北海道に限らず、九州の三池炭鉱も同じ境遇を辿った。落盤事故やガス事故で一体何人の尊い命が奪われたのだろう。安否不明のまま、火災鎮火のために水を注入し、水没してしまった炭鉱まである。そこまでして犠牲を払い、日本の経済や産業を支え続けた偉人達の功績があったのだ。このことを私達は決して忘れてはならないし、その事実に蓋をしては断じてならないのである。今回、フラガールに夢中になった経緯から、その足下をもう一度見直したくてこの話題を提示した次第である。
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記事作成:11月24日(木)
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