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2014年12月29日 (月)

親父の背中 ~亡き父に捧げる鎮魂歌~

 個人的なことだが、この日は亡き父の命日にあたるため、毎年詠んでいる詩を掲載させて頂くことを予めご了承願いたい。

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 「親父の背中 ~亡き父に捧げる鎮魂歌~」

年の瀬も押し迫った師走の朝 突然親父は逝った 
誰にも看取られず 別れの言葉を交わす暇さえなく 
覚悟も無いままたった独りきりで旅立った

昔気質で大の病院嫌い 体の不調を口にせず
人知れず断末魔の苦しみや 痛みに耐えていたのだろう
元来人に気を遣いすぎる性格 それが災いし 
余計な心配をかけまいと
自らの死期が近いことをひた隠しにしていたに違いない

その前夜 あなたは周囲の説得に耳を貸さず
最後まで病院へ行くことを躊躇った
今思えば あの時あなたは二度と生きてここへは戻れないことを
悟っていたに違いない

翌朝 医師から呼ばれ伝えられた真実
そしてほどなく「ご臨終です」という突き刺す悪魔の言葉
一瞬我が耳を疑った

昨夜まで我が家で生きていた筈の父が目の前で冷たくなっている現実
嗚呼 夢なら早く覚めてくれ されど生きる証を示す心電計は
真横に一直線に流れ 無情にも命の炎が尽きたことを物語っていた
手を握れば まだ柔らかく温もりのある体を冷やさないようにと
必死で母と擦った

やがてそれも叶わぬ願いと知り 唇を噛んで遺体に縋りつく母
震えるその肩を抱き寄せ ただじっと病室の天井を見つめていた
どうしてこんなことに いったい誰がこんな別れを仕組んだのか
受け入れ難い現実を突きつけられ 心の整理がつかない

その夜 通夜には不似合いなくらい 空一面に瞬く銀の星
天に召されたあなたも きっとそのどこかにいる筈と
必死であなたの名を星に向かって叫んだ

突然の訃報にうな垂れて訪れた喪服姿の弔問客
その日を境に未亡人と化した母は気丈に振る舞う
生前親交があった人々の悲痛な面持ちと嗚咽
そしてお悔やみと慰めの言葉に

これが現実であることをようやく受け入れた
取り付く島を与えず 矢継ぎ早に始まる葬儀の仕度
家族はその日から遺族と呼ばれ 不幸の眼差しを一身に浴びる

真夜中過ぎ客足が途絶えた頃 
死化粧と白い布を顔にあてがわれ 守り刀を胸に抱いて横たわる 
変わり果てたあなたの亡骸と向き合い
久しぶりに親子二人で話をした

額に深く刻まれた皺 やつれた頬 仕事中 
誤って怪我をし足の甲に拵えた傷の跡 気づかなかった 
こんなにあなたが疲れていたことを

線香の煙の中で交わす心の会話
「この大きな空の小さな町の片隅であなたは生まれ育ち
七十歳という生涯を人知れず閉じた」
「遣り残したことはないの」「幸せな人生だったの」
無言の父は身動きひとつせず ただ黙っているだけ
明るく気さく 忠義で誰にでも優しかった親父
頭に浮かぶは在りし日の面影

幼い頃いろんな所へ連れて行ってもらったこと
空き地でキャッチボールしてくれたこと
大学や就職が決まった時 手放しで喜んでくれたこと
昨日のことのように甦る

子供の時 あんなに大きく見えた背中が いつの間にか小さくなっていた
あなたの体を蝕み命を奪い取った煙草 死ぬまで肌身離さず持っていた
いつも家族に窘められ それでも一向にやめようとはしなかった
焼香代わりに香炉の灰に立て火を点す

「今宵は好きなだけ吸っていいよ・・・」

大晦日 あなたを野辺送り 火葬場にて最期の別れ
経帷子を身に纏ったあなたとあなたの代名詞だった遺品を 棺に納め 
天に昇る煙をこの目で見届けた

翌日 我が家に初めて正月は来なかった
楽し気に初詣に向かう家族連れを茫然と見送った
放心状態と極度の虚脱感が全身を襲う

正月が明け 吹雪の中でしめやかに執り行われた告別式
葬儀を終えた瞬間 我々遺族は言い知れぬ深い悲しみに包まれた
参列者に気丈に振る舞いお辞儀を繰り返していた母が
ひとつ深い溜息をつき崩れるように床に落ちた
子供の前で一度も弱音を吐かず強かった母の初めて見る真実の姿
僕は拳を握りしめ人生を噛みしめた

あれから早幾歳月 未だ信じ難いあまりにも早すぎた父の死
いつも当たり前のようにそこにいたはずの人がいない
できなかった親孝行 自分を責め続けた日々

でも遺影の父はいつも黙って微笑んでいる  
掌を合わせる度にあなたは無言で語りかけてくる

「これが人生 これが男の生き様 生きてこその絆 
限りある命 今を精一杯生きろ」それが父の教え 

いずれ私もおっつけ逝くだろう
それまで その後の自分の人生を胸を張って報告できるようにしよう
そう墓前で固く誓った

心の支えはもういない かつてあなたがそうであったように
気づけば自分も親の身となった
此の頃少しずつあなたの気持ちがわかってきた
今の僕ならあなたの苦労が痛いほどよくわかる

家庭を築くこと 愛する人を守ること 
男として生きていくことが どんなに辛く大変だってことかを
あなたが僕にしてくれたことを 今度は僕が自分の子供にしてあげよう
「あなたはこの世から旅立ったけど 
これから先もずっと僕の心の中で 生き続けるだろう」

そのことを自分自身に言い聞かせ ありきたりだけれど
生前言えなかったこの言葉を今 あなたに捧ぐ

「こんな僕を育ててくれてありがとう あなたの子供で本当に良かった」

「またいつか 空の上でキャッチボールをしよう・・・」   

 

平成十五年 十二月二十九日 父他界 享年七十歳  合掌  

追 記   

 この日ばかりは、私や家族にとって生涯忘れられない日となった。最愛の父親があの世に旅立ってから今年で丸11年が経過した。「光陰矢の如し」を実感する。父が亡くなった病院も、震災の影響で取り壊され、今は更地となっている。父の存在を永遠に忘れないために、そして追憶と追悼の念を忘れないために例年同様、亡くなった時刻11時21分に亡き父に捧げる詩を再掲させて頂いた。
 毎年思うことは、死んだ人間は二度とこの世に戻らないという非情なまでの事実だ。実家に行けば今でも父親に会えるような気がしてしまう。しかしそれは叶わぬ夢だと悟る。  いずれ遅かれ早かれ、自分もあの世に逝くことだろう。その時に、ご先祖様に顔向けできないような真似だけは絶対にしないと思っている。自分がどんな一生を送ったかを胸を張って報告できるようにしたいと強く願っている。そのためには、親よりも一日でも多く長生きすることが必要だ。これまで大病はないが、あと20年で父親と同じ年齢に自分も達する。そこまでは生きながらえたいと切に願ってやまない

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