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2016年5月28日 (土)

日本最果ての地の不思議

 日本には、最北端とか最南端の地と謳って、観光地として盛り上げている土地柄がある。一見すると、そこが日本最北端かと納得してしまいがちだが、実はそこは極限の地でもなんでもないことがわかる。まさか、正直者で素養もあり、民度が高い民族として全世界に知れ渡っている日本人が偽りででっち上げているとは思えないが・・・・。ではそう思う根拠を述べたい。

 1 日本最北端の地は「宗谷岬」?

 宗谷岬に3回訪れたことがあるが、てっきり三角形の形のモニュメントを鵜呑みにしていた私は、売店で売っている最北端到達証明書を貰って、てっきり日本の北の最果ての地にたどり着いたと有頂天になっていた。
 ところが、地図上で確認してみると、日本最北端は別の場所にあったのだ。それは日本政府が日本固有の島と主張して憚らない、「北方領土」の最大の島にして国境の一番北の外れにある「択捉島」だ。

 緯度を見ても「宗谷岬」は北緯45°51′87″

 一方の択捉島の一番北側はカモイワッカ岬で 緯度(北緯)45°33′28″

 よって、択捉島のほうが北に位置している。つまり日本最北端は、日本政府の主張の通り、紛れも無く「択捉島」の最北地点ということになる。
 日本人自らが、領有権を放棄してしまい、北方領土を切り捨ててしまっているこの状況に、日本人としてどう判断すればいいのか。みすみす「択捉は日本の領土ではありませんよ、だからそこには最北端の場所はありませんよ」と暗に認めてしまっていることになる。

 北方領土は、第二次世界大戦末期に、旧ソ連が一方的に日ソ不可侵条約を破棄し、不法占拠しているにすぎず、日本固有の領土であるには偽りはない。

 しかしながら、現況は戦後70年間変らず、よって「宗谷岬」は日本政府の現段階での行政権が及ぶ「最北の地」と解釈したほうが良さそうだ。わかりやすく言えば、日本人が自由に到達できる場所ということだ。つまりは離島を含まない本土最北の地ということになる。

 それを鈴木宗男氏などが、単独でロシアと交渉し、「友好の家(通称宗男ハウス)」などを建設していい顔しようと独断専行交渉するから、政府としての面目は丸つぶれで、話が進まなくなるのだ。アントニオ猪木や鳩山由紀夫が勝手な自己判断で、北朝鮮や韓国首脳と面会するのも同類。

 本来は宗谷岬は、「北海道最北端」とか「北海道本土最北の地」と改めたほうが良さそうだ。

Saihoku Kamoiwakka

 2  日本最東端は納沙布岬?

 1980年代、私が北海道に住んでいた時、納沙布岬には2度訪れた。そこの灯台の前には、「日本最東端の地」という名の標札が誇らしげに立っていた。私は「これも待てよ」という疑念が沸いた。日本最東端は、北海道本土だけの話で、上の話に当てはめれば、北方領土の択捉島が最東端に位置するし、実際の最東端は、離島にこそある。日本国が定めている「日本最東端」は以下の地点にある。

  •  南鳥島・坂本崎(東京都小笠原村)
  •  島に施設を有する海上自衛隊と気象庁の職員のみが上陸可能で、それ以外は工事関係者などに限られる特別な許可が必要である。

      よって「納沙布岬」は離島を含まない本土の最東端というのが正しい。

    Saitoutan Nihonsaitoutan

     3 日本最南端 

     波照間島・高那崎(沖縄県八重山郡竹富町)

     ここは無人島を含まない日本の最南端でもある。有人島であり、南十字星も見ることができる島。しかし、日本の領海上の最南端の離島は別に有る。

     沖ノ鳥島・北小島(東京都小笠原村)

     数10cmの露岩2つからなる島である。浸食保護などのため東京都の管轄を離れ、日本政府の直轄管理下に置かれており、民間人が上陸することは困難である。

     最近、政権末期の台湾・馬総統が、自らの影響力を誇示しようと、あれは岩礁帯であって島ではないと中国本土寄りの主張を行い、日本を非難した。確かに、あれはバリケードで海面が島を飲み込まないように周囲を保護している。しかし、あれがあるおかげで日本の領海は保たれている。

    Sainantan Okinotorishima

     離島を含まず、本土で考えると最南端の地は佐多岬(鹿児島県肝属郡南大隅町)だ。

     4 日本最西端

     予想したかもしれないが、韓国と領有権を巡って対立している「竹島」でも、中国や台湾と争っている尖閣諸島でもない。

     与那国島・西崎(沖縄県八重山郡与那国町)らしい。北緯24度26分58秒東経122度56分01秒座標: 北緯24度26分58秒 東経122度56分01秒に位置する。

     西崎は、正確な日本の東西南北の最端部の中で唯一、一般の交通手段で誰でも自由に訪れることができる場所である。岬の突端には西埼灯台が立ち、「日本最西端の地」の碑と展望台が設けられている。天気のよい日には約110km先の台湾を眺望することができる。

    Saiseitan Kanzaki

     なお、離島を含まない本土の最西端は神崎鼻(長崎県佐世保市)だそうだ。


     最後に、これでテーマの意味を理解して貰えたと思うが、日本人が日本最端と謳っている場所は、観光客を誘致したいという思惑が見え隠れする。何も産業もない寂びれた町ならなおさらそうで、それを宣伝文句に客を呼び込みたいという意図はありありだ。
     本当の意味での日本の最果てを知れば母国・日本に対する見方も見識も違って見えるものと思う。 

     さて、その先は異国ということを考えれば、最果てという言葉は、ズシリと重みがある。そしてロマンを掻き立てる。それは容易にはたどり着けない距離感や日常生活では思いもよらない場所だからだ。一体そこは如何なる場所なのか。きっと訪れた者、つまりは足を踏み入れた者にしか味わえない感覚だろう。日本人であるならば、日本国の一番端っこを見てから死にたいと思う。

     記事作成:5月17日(火)

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