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2016年10月 1日 (土)

福島県の企業破綻と再生

 2016年は景気好調が持続し、雇用は有効求人倍率も高校生の新卒の場合、1.5倍と高く推移しており、売り手市場が続いている。5年ほど前とは雲泥の差になっている。しかし、そんな状況とは裏腹で、我が福島県では、9月21日(水)、目を疑うような記事が朝刊に掲載された。それは長年、福島県の地酒ブームを牽引してきた「花春酒造」が経営に行き詰まり、事業譲渡に追い込まれたのだった。昭和の頃、「花春」と言えば、毎日何度もテレビCMで見ない日はないほど、福島県でトップの売り上げを誇った。後楽園球場のアルプススタンドにもその看板広告が踊るほど、福島県の日本酒=花春という代名詞でもあった。そんな花春が経営破綻に追い込まれるとは・・・。極めて遺憾だ。理由は、福島県が4年連続で全国新酒鑑評会で金賞を受賞する背景に、他の酒蔵の台頭があった。例えば全国で大人気の「飛露喜」、モンドセレクションに出品し、グランプリを受賞したことが有る「大七」、そして毎年金賞受賞に名を連ねる「国権」などだ。そんな地酒ブームに乗り切れなかった「花春」が売り上げが減り、このたびの決断に至ったことは残念としか言いようがない。花春酒造にはぜひとも会社再建で、トップブランドだった「花春」の銘柄を堅持していただき、再び隆盛の日を迎えられるよう企業努力をお願いしたいと思う。
 そこで今回の本記事のテーマは、かつて経営危機に陥りながらも、会社更生法適用や事業移譲により、再建叶った福島県内の企業を取り上げたい。

 1 福島交通

 バブル期における無理な多角経営と、1980年代以降の赤字路線増加によって巨額の債務を抱え、1980年前半には経営不振となった。1986年に子会社の福島交通不動産と合併し、多額の債務は福島交通不動産が継承、交通事業部門を新たに設立した新福島交通に譲渡し、同年中に新福島交通は福島交通に改称した。その後の福島交通不動産はエフ・アール・イーと改称し、所有不動産の売却を行っていたが、1999年に自己破産を申請した。
 本体である福島交通自身も、近年の過疎化によるバス・電車の需要低下と、バス事業における規制緩和による競争激化により収益が悪化。さらに、中途退職者が会社の予想以上に多く出て、退職金債務が数億円に膨らみ、財務状況が悪化。2008年初頭にも法的整理に入ることが検討されたが、2月が国と県の補助金(約1億6千万円)交付決定時期であり、また、3月上旬に創立100周年記念の福島空港発着ハワイツアーを子会社が催行する予定だったため見送った。しかし、中途退職者への退職金支払い時期前にあたる2008年4月11日、東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請した。

  このニュースが流れたときは衝撃だった。県内一円を網羅し、庶民の足を支えてきた地元の雄「福島交通」がまさかの経営破たん。それだけではない。福島交通が倒産となれば、県内を隈なく走る路線バスや高速バスは運行しなくなり、庶民の暮らしに大打撃を与える。そして福島交通が運行する「飯坂線」も廃線となる恐れがあった。
 確かに路線バスは時間帯によっては乗客が誰も乗っていない、いわゆる「空バス」状態で走っている光景をよく見かける。これでは経営が成り立たない。

 2 ホテルハマツ

 1991年(平成3年)5月 - 郡山市虎丸町のさくら通り沿いの一等地にあった「郡山ザベリオ学園」の郊外移転後の跡地に建設し、ホテルハマツを開業。
 2003年(平成15年)8月に122億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請し、翌年には小山市の小山観光開発に営業譲渡して創業者の手を離れることになった。
 2004年(平成16年)7月 - ホテルハマツをはまつグループから小山観光開発に営業譲渡。8月に現経営会社のハマツ観光設立。10月に再オープン。また同年、ホテルオークラチェーンとの契約終了に伴い、同チェーンを脱退。
 天皇陛下や皇太子さま、安倍首相も宿泊したことのある県内一豪華ホテルと言って良い。サマービュッフェやバイキングなども好評だ。

 3 うすい百貨店 

 1662年(寛文2年)8月24日に物産問屋として創業したのが始まりである。1930年(昭和5年)に合名会社うすゐとして法人化し、1938年(昭和13年)に百貨店法に基く百貨店営業の認可を受けて正式に百貨店化した。
 1959年(昭和34年)には郡山市中町にあった丸伊デパートを買収して「第2うすい」として増床し、1965年(昭和40年)には年商33.0億円(売場面積7,565m²)を上げて福島市の地域一番店だった中合の年商24.5億円(売場面積7,028m²)を上回って福島県全体の地域一番店となり、東北地方全体でも仙台市の3百貨店(藤崎:43.4億円、丸光:42.3億円、三越:41.5億円)に次ぐ4番目の売上を上げるまでに成長した。
 1967年(昭和42年)には株式会社うすい百貨店として分離独立し、同年12月14日に仙台市から進出してきた丸光や地場の呉服店が百貨店化した津野本店、1969年(昭和44年)進出してきたイトーヨーカドー、1975年(昭和50年)に進出してきた西友(1年後の1976年11月6日に西友郡山西武店となる)やダイエー、丸井などの大型店と激しい競争を繰り広げた。特に反対側の大町にあったダイエーとは、開店時には価格面において極端な値下げが行われるなど全面戦争状態と化した。

 2000年(平成12年)7月期には年度開始後約3ヶ月で約2倍に増床して9ヶ月間新店舗で営業したにもかかわらず売上高が約155.34億円と逆に4.4%減少して22.05億円の赤字に転落し、2003年(平成15年)7月期も売上高約168.65億円で5.87億円の赤字と業績が伸び悩んで過大投資となり、借入金総額がうすい本社と合計で約155.02億円と年間売り上げの90%を超えてしまった。過大投資により業績が低迷したため、2003年(平成15年)8月にメインバンクの秋田銀行からの申請で産業再生機構による支援が決定され、再生計画が実行されることになった。

 4 水谷建設

 同社は、大手ゼネコンからダム・高速道路など大型土木工事の下請工事を請け、平成15年8月期には453億円の売上高を計上していた。しかし、朝鮮疑惑、福島県土地購入による贈賄疑惑、水谷功元会長の法人税法違反容疑での逮捕などにより、疑惑のデパートとして対外的な信用を失墜していた。小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」へ約1億円(5千万円×2回)の裏献金を渡したと裁判で供述。あまりの疑惑のデパートぶりに裏での司法取引の噂も流れているほど。
 98年、福島県いわき市の山林内にある土地約30万平方メートルを約1億円で購入したが、約8億円で購入したように装った。03年に同県内の建設会社に約2千万円で売却し、多額の損失が出たように見せかけて、約7億円の所得を隠した疑いが持たれている。
(福島県発注の木戸ダム建設をめぐる汚職事件に発展。同ダムの工事を落札した前田建設工業の下請けとして、佐藤栄佐久福島県知事(当時)の実弟が経営する会社の土地を相場よりも高い価格で購入、知事側に対し利益供与を行なった疑いがもたれた。)
 東京地裁は平成19年4月、総額約11億4千万円に上る水谷建設(株)(三重県桑名市)の脱税事件で、法人税法違反罪に問われた同社の水谷功元会長に対し、懲役2年(求刑懲役3年)、元役員に懲役1年6ヶ月、執行猶予3年(同懲役1年6月)の判決を言い渡した。法人としての水谷建設(株)は罰金2億4千万円(同罰金2億6,000万円)を受けた。
 この記事は「JCnet」から引用させていただきました。

https://www.youtube.com/watch?v=hlejBNQA17g

 5 花春酒造

 昭和の時代には、福島の酒といえば「花春」で、それは福島県を代表する清酒だった。日本酒が特級、一級酒、二級酒という分類だった頃に、売れに売れまくった。「会津の良さは酒の良さ」というCMコピーで一世を風靡し、和服美人が毎回、琴を演奏したり、艶やかな舞いを披露した。19時前時報をあらわすCMは決まって「花春」だった。何せ300年の歴史があり、今でも醸造工場があった場所は、今でも「花春町という地名が残るほどだ。

 平成28年9月21日付の「福島民報」の記事によれば、長期的な日本酒市場の縮小と東京電力福島第一原発事故の風評被害によって、売り上げが落ち込み、一億円を超える負債を抱え、現体制では完済できないと判断し、資産などを処分して会社を清算する方向となった。花春は享保3年の創業以来、約三百年の歴史に幕を下ろすが、「花春」の銘柄と従業員の雇用は守られる見通しだという。

 ↑この美人女優さんは若い頃の根本りつ子さん?

 さて、いずれも福島県に本社があったり、福島県に関する事件絡みで倒産に追い込まれた会社だが、その社会的意義や多方面への悪影響を懸念されることで、和議申請や会社更生法あるいは民事再生法が適用され、会社再建なったものだ。かつては健全経営で黒字だった企業が、事業拡大を目論み、多額の設備投資や建設費用により、赤字が膨らみ、折からの不景気によって収益が減り、赤字に転落し、改善策が見込まれないまま、多額の負債を抱えて債務超過に陥り、このような危急の措置を講じる羽目になっている。
 大勢の従業員や社員を抱える企業は、やはり10年先を見据えた経営が求められる。一時の社会情勢に身を任せ、後先考えない無謀な出資は控えたほうが賢明だ。

 記事作成:9月21日(水)~22日(木)

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