名球会入りした選手の1年目
今年のプロ野球界は記録ラッシュ。6月12日(月)現在で、中日の荒木とメジャーの青木が2,000本安打を達成した。さらにロッテの福浦、巨人の阿部、ソフトバンクの内川、阪神の鳥谷が今季中に2,000本安打に到達するのは間違いないところだ。
打者の勲章とも言える2,000本安打。レギュラー定着し、100安打を20年続けないとクリアできない一流選手の証だ。
一方、今季、投手で200勝を達成できそうな選手は残念ながらいない。巨人の杉内があと8勝で150勝だが、一軍登録もされておらず厳しい数字だ。また石川が152勝して今シーズンに臨んだが、あと4年以上かかりそうだ。
このように名球会に入ることはプロ野球選手として名誉なことだが、必ずしもルーキーイヤーから活躍できた訳ではない。世界のホームラン王だった王貞治氏も入団一年目は僅か31安打で本塁打数は7。順風スタートだったわけではなく、打撃コーチだった故・荒川氏と二人三脚で打撃改造に取り組み、その後の成功に至った。ほかにも好不調の波があっただろうし、故障や怪我で休養を余儀なくされた選手も数多い。そこで今回の記事は打者なら2,000本安打、投手は200勝以上、記録した名選手の1年目の成績を取り上げたい。
なお、全員紹介すると容量オーバーするので平成以降に達成した選手限定としたい。
打者編
1年目の成績
通算安打 出場試合 安打 本塁打 打点 打率
イチロー 4308 40 24 0 5 .253
金本知憲 2539 5 0 0 0 .000 大卒
立浪和義 2480 110 75 4 18 .223
石井琢朗 2432 17 2 0 0 .400 5打数2安打
落合博満 2371 36 15 2 7 .234 ノンプロ出身
稲葉篤紀 2167 67 66 8 40 .307
秋山幸二 2157 3 1 0 0 .200
宮本慎也 2133 67 11 0 4 .220
清原和博 2122 126 123 31 78 .304
小笠原道大 2120 44 94 21 7 .223入団時は捕手
前田智徳 2119 56 11 0 5 .256
谷繁元信 2108 80 27 3 10 .175
中村紀洋 2101 11 6 2 5 .222
古田敦也 2097 106 70 3 26 .250 大卒
松井稼頭央 2068 69 45 2 15 .221
和田一浩 2050 17 4 0 2 .190
小久保裕紀 2041 78 38 6 20 .215
野村謙二郎 2020 88 39 0 12 .258
田中幸雄 2012 14 4 1 4 .148
駒田徳広 2006 86 52 12 47 .286
2017シーズン時、現役選手イチロー、松井は2016年シーズン終了時点での通算記録を記載した。もちろん現役の荒木も今回は割愛したい。
見てわかるように、入団1年目のルーキーイヤーには後の超一流選手と言えども、プロの壁にぶつかり、試合出場すらままならなかった。まして高卒ルーキーは、ファームで怪我をしない体作りから始まる。
清原、松井、野茂、上原、松坂は別格として、それ以外は皆、下積みをしている。
投手編 1年目の成績
通算勝利数 登板数 勝 敗 S 奪三振 防御率
工藤公康 224 27 1 1 0 29 3.41
山本 昌 219 1 0 0 0 2 27.00
平成以降、200勝投手が極端に少ない。これは完全分業制が進み、先発完投型が少なくなったためで、先発投手の登板数は1シーズン30試合未満のため、最多勝でも15勝前後。これでは勝ち星を200個積み上げるのは難しい。15勝を14年連続続けてやっと届く数字だ。
さて、見てきたように、名球会に名を刻んだ名選手ですら、ルーキーイヤーや2年目くらいまでは芽が出ず、下積みをしていることがわかる。大卒でもノンプロ上がりでも、1年目からプロのスピードについていって実績を上げる選手は思いのほか少ないことが理解できる。
やはり才能だけではダメで、地道な努力があってこその成功である。見てみると、大卒やノンプロ出身者は、高卒に比べて4~6年程度プロ入りが遅れる分、現役生活が少なくなる。22歳から40歳までやったとして19年間だ。毎年、怪我無くコンスタントに試合に出場して100安打を19年続けてもまだ届かないし、投手の場合は打者に比べて、肩や肘に故障を抱えやすく、選手寿命が短い。普通に考えて38歳で引退して16年程度だ。投手で名球会に入る選手が少ないのはそのためだ。中には工藤や山本のように50歳まで現役を貫く選手もいないことはないが・・・。16年間の現役でもプロ野球選手としては成功したほうだ。2年目まで芽が出なかったとして、15勝を残りの14年連続で続けた投手は、平成以降はいない。だとしたら、今後は200勝投手など出ないのではないか?という危惧さえ浮かぶ。
あの甲子園を賑わした桑田真澄(173勝)でも到達できなかったし、松坂大輔ですら厳しい。怪物と言われた江川は巨人命を貫いた挙句に選手寿命を縮めた。巨人のエースだった齋藤雅樹も180勝止まり。
現役選手でもっとも200勝に近いのはヤクルトの石川雅規だが、2016年終了時点で156勝。37歳であることを考え、今季のヤクルトの大低迷を見れば、10勝するのは厳しく、41歳までそれを続けるのは正直困難だ。
また、故障続きの巨人・杉内は142勝。到底及びそうにない。
したがって、現代野球において、「名球会」に入ることは、ほんの氷山の一角と言えるだろう。
今回の記事を見れば、超一流選手が、1年目から順風満帆なスタートを切っていないことがわかる。練習を重ね、同じチーム内で凌ぎを削ってポジションを獲得し、コンスタントに試合に出続けて実績を積まないと到底たどり着けない記録だと認識できる。
ドラフト何位であろうが、実力がものいうのがプロの世界。ぜひ切磋琢磨し、心と体、そして技を磨き、記録にも記憶にも残る選手になってほしいものだ。
記事作成:6月14日(水)~
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