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2018年1月27日 (土)

日本酒の楽しみ

 私は「日本酒は嗜好品である」と常々思っている。言わずもがなだが、嗜好品とは「風味や味、摂取時の心身の高揚感など味覚や臭覚を楽しむために飲食される食品・飲料や喫煙物のこと」である。
 
 なのに、有名ブランドばかりを有難がる俗物根性と同じで、ネームバリューがあるからと言ってそれだけで人気酒に飛びついたり、味もわからないくせにウンチクを垂れたがる輩が増え、それらは愚の骨頂と言わざるを得ない。
 
 今から20年前、地酒ブームが沸き起こったのは記憶に新しい。日本酒の良さが見直される契機となったが、猫も杓子も皆、特定の日本酒ばかりに群がり、手に入りにくいレアものとして価格は高騰、「幻の名酒」とさえ呼ばれて持て囃された酒があった。

 一例を挙げると

 「越の寒梅」「雪中梅」「越の影虎」「八海山」「久保田」(新潟)
 「十四代」「住吉」「出羽桜」(山形)
 「天狗舞」(石川)
 「磯自慢」(静岡)
 「黒龍」(福井)

 一例を挙げたが、これらはプレミアがつき、正規の料金の数倍もの高値で取引されたり、1本1万円以上で闇ルートで売買されたこともあった。
 現に今でもヨークベニマルでは山口県の「獺祭」が照明にあたり、温度管理も出来ていない店頭にこれ見よがしに1本7千円以上の高値で置いてあるし、カインズホームでは「越の寒梅」の本醸造や「八海山」、「久保田」が投売りされている。久保田などは久保田会の会員でなければ販売出来ない筈だ。毎年数回、酒販店主を集め、勉強会を開催し、その年の出来具合や味の詳細を学び、客への説明の手助けまでしている。そこまでしないと卸してくれない代物だ。安売り品はたぶん横流しされたものであることは明白で、これではあまりにも酒が可哀相だ。

 しかしながら、冒頭で述べた通り、日本酒は嗜好品である。万人受けするものでは決してない筈で、人気に肖ってそれに飛びついて、果たしてその人好みに合致するのだろうか。
 煙草もそうだったが、多くの銘柄があって、その人の舌に合うものが必ずあるはずだ。その好みは千差万別であって、誰もが同じ趣味嗜好であるはずはないというのが私の持論だ。
 
 日本酒で言うと、完全にオートメーション化し、大きな工場で大量生産・大量販売している大メーカー、そして大々的にテレビや雑誌などで宣伝している製品だから、絶対的に美味しいとはならないのだ。

 私は震災時の原発事故による放射線被害で、我が福島県の食品がいわれのない風潮被害で敬遠されている現状を目の当たりにし、強い憤りを感じているひとりだ。

 我々福島県民は「完全被害者」なのに、生活が困窮し、自殺に追い込まれている生産者が現実にいる一方で、他県、あるいは他国の人々は、安全検査を厳重に行っているにもかかわらず、福島県産は危険だと未だに米や野菜の出荷量が震災前の20%程度に踏みとどまっているのが現状だ。
 
 
 幸いにして日本酒は、酒どころ会津地方が原発から120km以上離れた放射線量が極めて低い土地柄であるため、その風潮被害もあまり受けていない。よって震災以降も伝統と権威ある日本酒の出来具合、味の確かさを競う「全国新酒鑑評会」において、5年連続金賞受賞数日本一を獲得した。

 かの中田英寿氏は福島の酒をこう評した。以下「Youtube」掲載のコメント

  サッカー元日本代表選手の中田英寿氏(40)が23日、東京国際フォーラムでトークョーを行った。
 同所ではこの日、福島県のPRイベント「FUKU FES 2017ふくしま大交流フェスタ」を開催。会場には、福島の日本酒が20蔵以上も楽しめるエリアが設けられている。
 47都道府県の酒蔵300か所以上を回るほど日本酒に精通している中田氏は「福島のお酒っていうのは、全国的に見ても非常にレベルは高いと思います。どちらかというと純米大吟醸のような(格式の高い)お酒というより、食事の合間に飲む純米酒のような(庶民的な味が)すごくいいなと。食事中に飲むお酒というイメージがあります」と紹介した。
 現在、福島には約70か所の酒蔵があるが、中田氏はそのうちの約20か所を訪れたことがあるという。

 今後、福島の日本酒をどうやってPRしたらいいかアイデアを求められると、中田氏は「それぞれの多様性が福島のお酒にはある。(同じ福島県内でも酒蔵の場所によって)あれだけ気候が違うので、水も当然違いますし(味が違う)」と分析し、「温泉地ともう少し密接につながってセットになれば。食事とのペアリングが分かるといいなと思います」と、日本酒に合うご当地グルメもセットでPRすることを推奨した。

 かつて日本一のJリーガーはまさに日本酒の分野でも「本物を知っている」ということか。決してお世辞ではなく、自分の趣味嗜好に合う酒探しを自らが提唱している点で私の意見と合致している。

 しかし、これほど確かな誉れ高き福島の地酒が、国内ではあまり売れないというのもあながち否定できない現状にある。酒好適米の段階から品質検査は徹底的に行われているにもかかわらずだ。実に残念至極だ。
 その日本一美味い日本酒を他県の日本人が受入れにくい状況に置かれている今、結果、一体最高の酒がどうなっているかご存知だろうか?

 では下の動画をご覧いただきたい。

 IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2015「日本酒部門」でチャンピオン・サケを輩出し、「全国新酒鑑評会」でも金賞受賞数が4年連続で日本一を継続中(※)の福島の日本酒にスポットを当て、福島県クリエイティブディレクター・箭内道彦氏の監修のもと、「ふくしまプライド。」をメッセージにPR動画を制作しました。

 日本一の業で造られた5年連続日本一に栄誉に輝いた福島の酒が皮肉にも味にうるさい欧米人たちの賞賛を勝ち取り、外国に流出してしまう事態が発生しているのだ。これは日本人の心のよりどころである日本酒が外国にどんどん出て行ってしまう危惧を抱かざるを得ない。

 
 つまり、食通や利き酒にすぐれた玄人の舌をも唸らせている福島県の確かな酒作りの技術を全国に知らしめている訳だが、日本酒ほど製法に時間と手間がかかるものはない。とても薄利多売できるような代物ではない。熟成した味と香りは一長一短で成せる業ではない。杜氏が丹精込めて造り出す深い味は、蔵元ごとにまったく異なるし、使用する原料米や精米歩合、酵母、発酵度合いも仕込み時期によってまったく異なる。

 ビール、ウィスキー、ワイン、焼酎とは製法自体が異なるし、手間、醸造工程も天地ほど違う。厳しい温度管理も要求される。火入れ作業ひとつとっても味がガラリ変わる。
 そこには各蔵元の汗と涙の結晶が注ぎ込まれているということだ。こうした酒造年度ごとに、蔵人たちが魂込めて作り出したわが子同然の日本酒を、激安スーパーや味もよくわからないような店員が御託を並べて売っていたり、しかも冷酒を照明に当てっぱなしで温度管理もろくにしていない棚に並べておくような店で販売していたら、これは蔵人の努力を無にしているし、失礼極まりない行為だ。こうした輩は酒の販売をやめて貰いたいものだ。

 約20年前に酒税法が改正になり、国の愚策によってアルコール類の販売も大きく緩和された、コンビニでも酒を売るようになった。そして、ここ郡山にも激安酒販店が軒を連ねるようになったが、近頃、そうした機運に乗っかって店を出した激安店が相次いで店を畳んでいるのをご存知だろうか?「やまや」「一二三屋」「酒天国」などだ。

 「本物」ではないまがいものを売り続けた末に、経営が破綻した格好だ。真の酒飲み消費者が、本当に美味い自分だけの酒に辿り着いたことの証明であろう。

 蔵元に足しげく通い、良好な関係を築き、蔵人の努力に報いるように温度管理もしっかり行い、酒を大切に扱っている本当の「日本酒」を扱っている酒屋のみが生き残っているのは一目瞭然だ。
 
 幸い、私の実家近くの行きつけの酒屋さんは、良心的で、しかも味のわかる店員さんがいる。それが証拠に「利き酒師」の資格を有し、どの日本酒に対しても味の説明が出来るから安心して話が出来るし、自分の嗜好に合った日本酒を勧めてくれる。これは日本酒ファンにとってはありがたい存在だ。

 これこそが真の日本酒愛好家だと思う。全国の人気ランキングを有難がるのではなく、純米酒、吟醸酒、純米吟醸酒、大吟醸など数多くある酒類や酒質、日本酒度や酸度などを勉強し、自分の好みに合った酒を勧めてくれる行きつけの酒屋を作ることが美味しい日本酒を楽しむコツのように思う。

 間違っても酒の置き場所も選ばず、味が落ちた安売りの酒に飛びついたり、ネームバリューに踊らされて、人気がある有名地酒のみを有難がって追求してはならない。日本酒はあくまで嗜好品である以上、いくつかの地酒を呑み比べてみて、自分自身に合う「本当の酒」を自分自身で見つける楽しみを持ってはいかがかと思う。楽しみが膨らむと思う。
 有名ブランド一辺倒ではなく、「自分の舌で自分好みの酒を探し出す」、これこそが日本酒の醍醐味だと思う。

 どうです?大雪が降って寒い毎日が続いていますが、今晩あたり「熱燗」でキューッと一杯・・・・。
 
 最後に、福島県の地酒を数多く飲み比べた中で、私の舌に合うものを備忘録を兼ねてカミングアウトして結びとしたい。

 1 「天明・焔」 山廃き生もと特別純米
 2 「会津中将」 生貯蔵吟醸酒
 3 「國権」    純米吟醸生酒
 4 「奈良萬」  純米ひやおろし生詰
 5 「雪小町」  大吟醸・美山錦造

 記事作成:1月23日(火) 

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 追 記

 1月28日(日)に行きつけの酒屋さんを訪ねたら、ちょうど一週間前の1月21日(日)の午前4時半頃、店に車が突っ込んだそうだ。店主に話を聞いたところでは、衝突で爆音がし、店の外に出たところ、白いFITが電線に絡まり、運転席を下にして宙づりになっていたとのこと。
 店の損害は自動販売機2台が損傷し、店の外壁が大破したそうだ。運転席と助手席に乗っていた人は軽傷で済んだそうだが、車体は大破し部品が歩道に飛び散るほどの事故だった。
 警察の調べでは、どうやら運転していた無職の20代の男は、朝日町で朝まで酒を飲み、開成山方面から駅方面へ車を運転し、ツルハ前の交差点で赤信号で停車中の車を右折車線から無理やり追い越してハンドル操作を誤り、信号無視の上、暴走して店に突っ込んだらしい。
 その運転手はなぜか逮捕されずに救急車で病院に運ばれたが軽傷。その後、自宅に戻って療養中らしい。保険会社の調査員は弁償を含めて来たそうだが、加害者の男は一切謝罪にも現れていないと訝っていた。店主はとんだ災難だったと話している。大雪が降る二日前の出来事で、スリップした訳でもなく、すべてが飲酒運転の成れの果てだったと思われる。
 枝野氏ではないが、心からお見舞い申し上げます。

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